健康な歯の数は、QOL(生活の質)に直結します。
だからこそ、からさわ歯科医院では歯の寿命を延ばすために「できるだけ削らない、歯の神経を取らない」治療をおすすめしております。

今回は、MTAセメント治療をご検討中の患者さまから質問の多い
「どの程度の虫歯の痛みであれば施術できるのか」
「MTAセメント治療の痛みはあるのか」
についてご説明いたします。

MTAセメントとは?

まずMTA(Mineral Trioxide Aggregate)セメントとは1998年にアメリカで販売され、日本では2007年に販売を開始した歯科用セメントです。
MTAセメントは吸水膨張し辺縁封鎖性が高いことから、むし歯が神経に到達した歯を治すために使用します。

歯の神経を取るとどうなるの?

通常の保険治療においてはむし歯が神経に達していた場合、痛みを抑えるために神経を取る(抜髄)必要があります。しかし神経を取ってしまうと、歯に栄養が行き渡らず歯が脆くなり割れやすくなってしまいます。
 
しかしこのMTAセメントを用いれば深いむし歯や神経まで到達するようなむし歯でも、MTAセメントで封鎖することにより神経を保存することが可能です。
 
しかし、MTAセメントは全ての症例に対して使用ができるわけではありません。
むし歯を除去した際、神経の状態を判断し、神経を残せない場合は抜髄を行っていきます。

MTAセメント治療と保険材料との違い(水酸化カルシウム)

保険で使用する材料(水酸化カルシウム)は水に溶けやすい性質があり長期での安定性は得られません。
一方MTAセメントは逆に水を吸って固まりやや膨張する性質があるため封鎖性及び細菌侵入を防ぐ点からMTAセメントの方が優れています。
治療後3年以上経過した人の治療の成功率が水酸化カルシウム製剤では46%であったのに対しMTAセメントが86%と約2倍というデータもあります。

MTAセメント治療が難しいケース

現在では歯の神経をできるだけ温存する歯科医院が増えていますが歯の神経を残すことが最善ではない場合もあります。
歯の神経を取るのか、残すのか、基準の1つになるのが歯の痛みです。
以下のような症状がある場合はMTAセメント治療を施術できない可能性があります。

  • 自発痛がある(何もしなくても痛い)
  • 歯茎が腫れていて歯の神経への細菌感染がある
  • 温かいものでも強くしみる

逆に、虫歯が大きくても痛みを感じない、冷たい水を飲んでも痛みが少ない、歯の神経への細菌感染が無い、もしくは軽度である場合には、MTAセメント治療の適応になる可能性があります。
痛みの程度や持続期間など、痛みの感じ方には個人差があります。
しっかりとした診断には診察が必要ですので、まずはお気軽にご相談ください。

治療過程での痛みについて

虫歯箇所を除去し、MTAセメント治療を行ってから4週間ほど様子を見ます。
その間、痛みが強く出るようであれば神経を取る治療を行っていきます。

MTAセメント治療後は?

MTAセメント治療後に痛みが出なかった場合、失われた歯を回復させる治療に移ります。
失った部分の大きさなどにより詰め物や被せ物にします。
噛み合わせの調整と研磨も行いMTAセメント治療が終了しますが、それで治療終了という訳ではありません。MTAセメント治療は多くの場合、虫歯によって脆くなってしまった神経を取るか残すかのギリギリの治療です。

治療後も歯の神経がしっかりと生きているか、定期的な検診で経過観察を行う必要があります。
MTAセメント治療が患者さんにとって最善なのか、当院では治療前の診断を大切にしています。
まずはお気軽にご相談ください。

費用については保険適用外であるため33000円(税込)になります。